「交通」「医療」への不満や悩みが
生活への満足度に直結していた

 上位と下位の都道府県には、それぞれどんな特徴があるのだろうか。詳しく見ていこう。

 上位には、千葉や埼玉、兵庫、滋賀、京都のような大都市圏にある県、あるいは名古屋市と福岡市のような大都市を抱える愛知県と福岡県がランクインした。

 一方の40位以降には、東北地方の4県(秋田県のほか、福島県41位、岩手県44位、青森県46位)が入り、以前紹介した幸福度ランキング同様、東北地方は厳しい結果になっている。

 同調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、生活への満足度には「電車やバスの路線廃止・減便」「病院・医療施設の不足」に関する住民の不満や悩みが大きな影響を与えていると分析する。

「千葉県や兵庫県といった首都圏・近畿圏にある県では、近年、電車などの混雑解消や通勤を快適にするための取り組みが私鉄を中心に行われている。特に私鉄が複数乗り入れていると、各社が顧客満足度を上げるために切磋琢磨して、満足度アップにつながりやすい。

 一方で東北地方は人口減少や過疎化にともなって、電車やバスの路線廃止・減便が相次いでいる。これは学生や高齢者にとっては喫緊の問題であると同時に、40代~50代にとっても近い将来の不安につながりやすい」(田中社長)

人口を増やせば解決ではない
「地域らしさ」も生き残るカギに

 同調査では、住民に対して「社会が取り組むべき課題」にどんなことがあるかも尋ねている。生活への満足度と相関が強かった社会の課題として挙げられるのが、「人口減少・過疎化」「商店街の疲弊・店舗の減少」「空き家の増加・ゴーストタウン化」「少子化」だ。

「この相関の高さから、生活への満足度を上げるために若年層を呼び込むことが大切だといえるが、こうした施策は決して高齢者をないがしろにするものではない。若年層が増えれば、電車やバスの路線廃止や減便を免れたり、商店街が再び活性化して便利になったりするなど、高齢者にとってもメリットは大きい」(田中社長)

 ならば、人口を増やして、交通の便を良くする施策を行えば、満足度は上がるかというと、残念ながらそう単純でもないという。

「実は上記で挙げた社会の課題のほかに、『農林水産業の衰退』『新産業・新市場の創出』『地域文化・芸術の消滅』という要素も、生活満足度と相関が高いことがわかっている。つまり、“地域らしさ”がなくなることも、生活満足度を下げる要素になっている。人口を増やしながら、いかに地域らしい魅力を維持、確立できるのかが生活満足度の向上には重要だ」(田中社長)

 人口減少時代において、地域の個性を残しながら住民の生活満足度をいかに向上させるか。「自治体消滅」がささやかれる今、多数の自治体は非常に重要な局面に置かれているようだ。

(ダイヤモンド編集部 林 恭子)