厚労省に受け継がれる
「旧日本軍」の系譜

 いろいろなご意見があるかもしれないが、筆者は厚労省という組織が、やはり自国民の命を軽視して暴走した「旧日本軍」の系譜にあるからではないかと思っている。

 ご存じの方も多いかもしれないが、厚労省の前身・厚生省は敗戦後、大陸や南方に取り残された日本人たちの復員・引揚事業を引き継ぐ形で、旧陸軍省と旧海軍省を吸収している。戦傷病者や戦争遺族に対する支援を厚労省が引き継いでいるのはそのためだ。

 と言うと、「組織として繋がりがあるからといって、組織カルチャーまで陸軍や海軍と同一視するというのは暴論だ!」というお叱りもあるかもしれないが、ならば銀行業界はどうなのか。

 いまだにメガバンクで旧興銀派とか旧富士銀行派、旧三和派なんて言葉があるように、合併などで吸収された組織のカルチャーは完全に消え去ることはなく、新しい組織内で脈々と受け継がれている。日本の戦後体制をつくったのが、戦時中のエリートたちであるように、旧体制の人間は1人残らず一掃されました、というような状況にでもならない限り、組織カルチャーというものは世代を超えて受け継がれていくものなのだ。

 実際、今回の新型コロナの対応を見ていると、厚労省は旧日本軍の思想を引き継いでいるとしか思えない。例えば、厚労省の感染対策に批判的だった岩田氏をダイヤモンド・プリンセス号から追放したのは、「このままでは日本は負ける」と軍部に批判的な人間を次々と投獄して拷問をした「言論統制」と丸かぶりだ。

 さらに、この2つの組織が、特に親子のようにソックリだと感じるのは、「情報」の軽視ぶりである。

 岩田氏のような専門家をここまでわかりやすく排除していることからもわかるように、厚労省がこのウイルスとの戦いにおいて、「情報」というものを恐ろしいほど軽視しているのは明白だろう。専門家のネットワークで得られた知見や情報よりも、役所の論理や、国家の事情が優先されているのだ。

 実はあまり知られていないが、この「情報軽視」というのは、旧日本軍という組織の最も際立った特徴だったのだ。

 ご存じのように、世界の戦史研究家たちの間では、日本の旧帝国陸海軍は、「情報戦」に失敗した組織の典型例として語り継がれている。

 それを象徴するのが、1946年4月、米軍が政府に提出した「日本陸海軍の情報部について」というレポートだ。ここには日本型組織の“情報軽視”ぶりが辛辣に指摘されており、当事者である大本営陸軍部参謀にいた堀栄三氏も「あまりにも的を射た指摘に、ただ脱帽あるのみ」と白旗をあげている。