貧困層の「新型肺炎」温床化リスクに対応できない福祉の落とし穴新型肺炎の温床になりやすい貧困層。生活保護世帯では高齢化率が日本全体の1.8倍にも上る(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型肺炎リスクが高い
生活保護で暮らす人々

 コロナウイルスが引き起こす新型肺炎によって、感染と社会的混乱は拡大する一方だ。しかもこれから入試シーズン、年度末、そして新年度がやってくる。受験生やその家族、学校教育関係者は、ただでさえ負荷の重い状況の中、さらに新型肺炎のストレスにさらされる。生活保護で暮らす人々に、新型肺炎は何をもたらすであろうか。

 一般的に、高齢者および基礎疾患を持つ人は、肺炎をはじめとする感染症のリスクが高く、今回の新型肺炎も例外ではない。生活保護で暮らす人々の中に、リスクの高い人々はどの程度の比率で含まれているだろうか。

 整備された最新のデータが揃っている2017年、65歳以上の高齢者は、生活保護で暮らす約210万人のうち49%を占めていた。2人に1人が「ハイリスク」ということになる。同年、日本全体の高齢化率は28%であった。生活保護での高齢化率は日本全体の1.8倍ということである。

 世帯に注目すると、「世帯主が高齢者」という生活保護世帯は全体の54%に達する。高齢者世帯は「世帯全員がハイリスク」というわけではないが、発症しやすい人が世帯に1人含まれていると、その世帯の感染リスクと発症リスクが高くなる。

 傷病者に関しては、「世帯主が傷病者」という生活保護世帯が全体の14%である。「世帯主が障害者」という世帯は同じく11%、内臓や免疫系の疾患を持つ障害者が、内部障害を持つ身体障害者として含まれている可能性を考えると、新型肺炎に関して「ハイリスク」となる傷病者を含む世帯は、生活保護世帯の20%程度には達しそうだ。高齢者と合わせると、おおむね70%ということになる。