2月24日、トヨタ自動車は四川省成都市の工場を再開。これでトヨタが中国に持つ4工場全てで稼働にこぎ着けることができた。

 日系メーカーが生産再開という第一ステップをクリアしつつある一方で、自動車メーカー幹部が「早期に稼働率を上げて自動車を造ったところで、春節後の壊滅状態の市場がどの程度回復するのか読みにくい」と言うように、需要予測を読みあぐねている状況だ。

 すでに複数の自動車関係者は悲観的なシナリオを用意している。

 ある自動車部品メーカー幹部は「2020年1Q(1~3月)の市場規模は20年前と同レベルのどん底、2Q(4~6月)は前年同期比2~3割減、3Q~4Q(7~12月)でも19年並みに戻せるかどうかという壊滅的なレベルだ」と懸念を表明している。同様に自動車アナリストも「販売台数は最低でも年間1~2割減は覚悟しなければならないだろう」という見立てだ。

 別の自動車部品メーカー幹部も、「従来以上に不動産バブルを警戒している。一度バブルが崩壊したら、自動車のような高額商品など売れなくなるからだ」と言う。

 すでに新型肺炎ショックが発生する前から中国の自動車市場の成長は止まっていた。中国経済の減速や米中貿易戦争の影響により、28年ぶりの減少となった18年に続き、19年もマイナス成長だった。

国内生産拠点の停止リスク

 日系自動車メーカーの中国依存度は高い。世界販売に占める中国の構成比は、トヨタで16.7%、ホンダや日産自動車に至っては3割である。

 もっとも、トヨタやホンダなど完成車メーカーの中国事業は、地場メーカーとの合弁会社(50%ずつの折半出資)の持ち分利益が業績に反映されるため、中国の販売台数の落ち込みほどには業績へのインパクトは小さいという見方も一部ではある。