2019年度9月期決算の売上高は過去最高、営業利益も増益となり成長を続ける株式会社サイバーエージェント。同社は「はたらきがいのある会社」としても注目度が高まっている人気企業だ。社員クチコミサイト「オープンワーク」のデータでは総合ランキング24位に食い込み、「職場の風通しの良さ」のスコアも2400社中46位にランクインしている。
過去には、3年連続離職率30%の暗黒時代もあった同社が変化したのはなぜなのか? CHRO(最高人事責任者)の曽山哲人氏に、『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』の著者・北野唯我氏が組織づくりのポリシーを聞いた。(構成/樺山美夏)
チームの結束を一気に高める「9ブロック」
北野 サイバーエージェントの事業が山あり谷ありでも、結果、成長し続けているのは、現場の人間が言いたいこと、やりたいことを言える「オープネスの高さ」にあることが、曽山さんの話を聞いているとよくわかります。
僕がもし他の企業のプレイングマネジャーで、メンバーとの意思疎通に悩んでいるとしたら、問題解決のためにできるファーストステップは何でしょうか。
曽山 つい先日、エンジニアのリーダー向けに面談の勉強会をやったんですよ。そのときに学んでもらったのは、自分の部署にメンバーが4人いるとしたら、その4人それぞれが大切にしている価値観を知ろうということです。
具体的な方法として、「9ブロック」と呼んでいるワークをします。まず真ん中に自分の名前を書いて、周りに8個のマスがあるシートに、自分とメンバー4人がそれぞれ大事なものを書いていきます。
ただし時間制限があって、「よーい、どん!」ではじめて60秒で書かなきゃいけない。60秒という短い時間だと、格好つける間もなく本音が出るんですね。当然、8個のマスの内容が全員一致するということは、絶対にありません。
次に、それを周りに見せながら1人1分で説明します。ルールは、他のメンバーが、気になる単語について質問することです。
さらにこの時、聞かれた内容を具体的に話すと、相手の理解が深まります。たとえば、大事なものとして「愛」と書いていたとしても、愛にもいろいろありますよね。お母さんの愛なのか、子どもへの愛なのかっていうところまで掘り下げるとイメージが浮かんで、みんな「へぇ、そうだったんだ」と興味を持ってくれる。
1人1分、たった5分で、相互理解の会話ができるんです。
この「インタビューラーニング」の考えを僕はすごく大事にしています。自分から質問すると、聞いた内容を覚えますし、インタビューされたほうも話していて気分がいいですから、チームの関係性がものすごく良くなるんです。