「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」といったのは『嫌われる勇気』でおなじみのアドラー博士だが、ビジネスの現場において、人間関係こそもっとも悩ましい課題といえるだろう。このたび書籍『「職場のやっかいな人間関係」に負けない法』を出版した、人事・人材育成コンサルタントの飯塚健二氏が提案するのが、認知科学をベースにした考え方「iWAM(アイワム)」を用いた、人間関係改善の方法だ。本連載では、部下のマネジメントや組織の活性化などで活用したい、iWAMを用いた対人スキルの具体的手法を、飯塚氏にレクチャーしていただく。
会社を辞める理由でも
「人間関係」がダントツ
私はこれまで10年以上、企業の人事組織領域を中心としたコンサルティングや研修・ワークショップを行なって、さまざまな業界や規模の企業の支援をしてきました。そのなかで、上司と部下、先輩と後輩、同僚同士、部門間……多くの人が、大なり小なり人間関係にストレスを感じながら仕事をしている光景を目の当たりにしてきました。
「あの人はこうだから」とか、「アイツはああだから」と勝手に変なレッテルを貼る。「あの人に、私はこう思われている」と勝手な思い込みをする。立場や経験の違いから、ちょっとしたボタンのかけ違いが起きる。そして、うまくコミュニケーションが取れなくなり、お互いにわかり合えず、関係がギクシャクする――。
「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」とまで、あのベストセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)で注目を浴びるようになった心理学者のアルフレッド・アドラー博士はいっています。
人間関係に悩むビジネスパーソンは、非常に多いように思います。実際、会社を辞める理由として、「人間関係」を挙げる人は多いのです。