9割の上司が「相手は自分と違う人間」だと気づけない

北野 この9ブロックのワークは曽山さんメソッドですね。インタビューラーニングという概念はもともとあるものなんですか?

曽山 インタビューラーニングという考え方は、僕が後付けした感じですね。この手法にこだわっているのはもちろん理由があります。僕は今まで数え切れないほどワークショップをやってきましたが、自分のことをしゃべり続けている人の話を、周りが嫌な顔をしながら聞いているシーンを山ほど見てきたんです。

だからワークショップでは、基本的に「最初は本人にしゃべらせない」と決めています。その代わり周りに質問させると、一方通行ではない双方向のコミュニケーションができる。これはものすごく大事なポイントですね。

たった5分で、職場では絶対にわからない相手の側面が見えてきて、お互いに関心を持つ関係になれると、たとえチームのリーダーがプレイヤー出身の厳しい人でも、論理で他者を理解できるんです。論理で人を理解すると、「この人の大事にしていることは潰してはいけないな」とわかります。そうすると、自分と他人は違うことを自覚できるんですね。

長らく人事の経験を積んできて思うのは、人と自分は違う人間だということに、人はなかなか気がつかないんです、一度失敗しないと。僕も過去に人とトラブルを起こしたことがあって、人と自分は本当に違うんだなって思い知りましたから。

北野 どんなトラブルを起こしたのか聞いてもいいですか?

曽山 僕がある人に対して、失礼なことを言ったらしいんですよ。「らしい」っていうのは、自分ではあまり意識していなかったからなんですが……。
僕からしたら、「成果のために、どうして君は行動しないんだ!」っていう熱い気持ちから出たんだと思います。でも、相手の人はそんな風には受け取りませんでした。当然ですよね。僕の上司に「曽山さんから失礼なことを言われてすごい頭にきてます」って報告したんです。
その事件があってから、本当に申し訳なかったと思って猛省して、自分の考え方やスタイルを変えたんです。