人間はネガティブ。だからポジティブを「マジョリティ」にする

北野 20代の頃の曽山さんのように、評価されている人に対する嫉妬心って、たぶん誰にでもあると思うんですけど、嫉妬を感じている人間をプラス方向に向かわせるためにできることってありますか?

曽山 僕は、基本的に人間はネガティブな生き物と考えているんですね。ポジとネガとどっちに振れやすいかといったら、ネガのほうに振れやすい。この前提があるので、組織や職場のポジティブな雰囲気というのは意図して作らないと生まれません。だからといって、全員ポジというのも気持ち悪いですよね。

そこでサイバーエージェントでは、社長の藤田の言葉で、「ポジティブをマジョリティにしておく」ことを重視しています。環境や人間関係が変われば、妬みや嫉妬を持つ人間は出てきます。特にアントレプラナーは反骨心の塊のような人が多いので、「なにくそ」、「負けないぞ」といった怒りや悔しさなどの反骨心はあって然るべきものです。むしろ、そういう感情があるほうが健全なので、大事なことはその感情とどう向き合うかです。

僕の場合、他社がいい動きをしているなと思ったとき、それがなぜいいと思うのかすべて書き出すようにしています。タイミングがよかったとか、キャッチフレーズがいいとか、書いた上で俯瞰すると感情よりも理論で考えられて、「じゃあ次に自分たちは何ができるんだろう?」と考えられますから。

仕事や人間関係で感情的になった時も、必ず書き出します。前回の記事でお話しした、20代の頃の失言で自己嫌悪に陥った苦い経験もあり、人間キレたらゲームオーバーだと思っているからです。「カチンときたら、キレる前に必ず紙に書いて」と、社員にも機会があるごとに言っています。

北野 そういう風に、困ったことがあれば話を聞いてくれて、ひとりひとりに向き合ってくれるリーダーや役員がいる。そのオープネスの高さと信頼関係が、サイバーエージェントの一番の強みかもしれませんね。