2019年度9月期決算の売上高は過去最高、営業利益も増益となり成長を続ける株式会社サイバーエージェント。同社は「はたらきがいのある会社」としても注目度が高まっている人気企業だ。社員クチコミサイト「オープンワーク」のデータでは総合ランキング24位に食い込み、「職場の風通しの良さ」のスコアも2400社中46位にランクインしている。
過去には、3年連続離職率30%の暗黒時代もあった同社が変化したのはなぜなのか? CHRO(最高人事責任者)の曽山哲人氏に、『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』の著者・北野唯我氏が組織づくりのポリシーを聞いた。(構成/樺山美夏)
若手が職場で「言いたいことが言えない」本質的な理由
北野 プレイヤー視点からお聞きしたいんですけど、新入社員や若手社員が「職場で言いたいことを言えない」場合の対処法って何かありますか?
曽山 言いたいことを言えないのは、
・自分のプライドが邪魔している
・職場で言ってもいいことなのかどうかがわからない怖さがある
これらが原因だと思うんですね。その場合は、ゲーム感覚で3つのことをクリアすると変われます。
まず1つ目は「満額回答ゲーム」。
これはシンプルに、どんな仕事を振られても「やります!」と100%の力で受け入れることです。
誰にでもプライドはありますが、人間の成長を一番妨げるのは「プライドの高さ」なんです。だから、事務作業や雑用を振られると「こんな仕事……」とくさったり馬鹿にしてしまう。でも、一旦は余計な感情をはさまず、どんな仕事もゲーム感覚でクリアしていくと、信頼を稼げるし、知らず知らずのうちにスキルやノウハウが身につきます。
2つ目は、「決断の再生産ゲーム」。
これは満額回答ゲームの次のステップで、「与えられた仕事にどんな意味があるのか」を自分なりに考えるステージです。仕事を与えてきた相手の決断の意味を考えて、なぜそうすべきなのか自分なりに説明してみる。これを習慣化すると、「なぜその仕事をしてほしいのか」、「なぜあなたにお願いするのか」の意味づけができるようになって、マネジメント力がアップします。
3つ目は、「宣言ゲーム」。
このゲームは、自分の考えを口に出して言うことがルール。たとえ先輩や上司と意見が違っても、とにかく意思表明をすることです。自分の考えを口に出すことは、ビジネスでもっとも重要なことなので、宣言ゲームまでぜひクリアしてほしいですね。
意思表明をすると、周りの反応は「肯定、否定、無視」の3つにわかれます。この反応がわかるだけでも財産になる。自分一人で内省しているだけでは、反応は得られませんから。
特に否定意見が出た場合、その理由から学べることは多いので、意思表明すればするほど学びがあります。