「運行間隔20秒短縮」は難題
細かな工夫で実現可能に!

 だが、列車の増発は簡単なことではない。現在の運行本数は、最大で1時間当たり「のぞみ」10本、「ひかり」2本、「こだま」3本に回送列車3本を足した18本だ。つまり、東海道新幹線は平均3分20秒間隔で列車が東京駅を出発していることになるが、ダイヤ改正後は「のぞみ」が2本加わるので1時間あたり20本、平均3分間隔になるので、単純計算で列車間隔をそれぞれ20秒短縮する必要がある。JR東海はどのように、この難題に挑んだのだろうか。

「東海道新幹線のダイヤを作る上で一番のポイントは、東京駅の発車間隔をどれだけ短縮できるかという点にあります」と下村さんは語る。3本のホームと6つの線路を持つ東京駅を発車する列車は、複数の分岐器をわたって下り線路に向かう。ホームを出発してから下り線路に到達するまでの時間を短縮することが、列車間隔の短縮にダイレクトにつながってくる。

 そのひとつの答えが、車両性能の向上だ。今回のダイヤ改正に先立ち、1999年にデビューした「700系」車両が引退。全ての車両が時速285キロで運転できる「N700A」タイプに統一された。全ての列車を加速能力に優れた新型車両で運行することで、これまでよりも短い時間でポイント(分岐器)に到達できるようになる。しかし、これだけでは列車2本分の枠を捻出するには足りなかった。

 そこで着目したのが、ポイントに転換指令を出してから、実際にポイントの転換が完了するまでの「空白の時間」だった。

 これまではポイントの転換が完了し、列車が出発可能であることを示す「開通表示灯」が点灯してから発車ベルを鳴らし、乗車の確認をしてドアを閉め、列車が発車していたが、東京駅に中央の制御装置がポイント転換の指示を出したことを知らせる「開通予告表示灯」を新設。開通予告表示灯が点灯したタイミングで発車ベルを鳴らし、ドアを閉められるようになった。その間にポイントは転換を完了しているため、開通表示灯を確認してすぐに発車することができる。こうした小さな積み重ねにより、「のぞみ」2本分の時間を確保することができたというわけだ。