米国人の自宅にある薬の多くは、中国製の材料を使用してインドで加工されている。新型コロナウイルスのせいで中国の多くの業界が依然、休止状態にあるが、製薬業界に対するその影響が今、明確になりつつある。米国の後発医薬品の約4割を供給するインドが今週、26種類の医薬品成分とそれらを使用した医薬品の輸出を禁止すると発表した。それには一般的な抗生物質薬のほか解熱鎮痛剤「タイレノール」の有効成分なども含まれる。これに先んじて、米食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で既に医薬品に不足が生じていると警告した。具体的にどの医薬品が不足しているかは言及しなかったが、代替品はあると述べた。コロナウイルスの世界的流行の可能性に備える米消費者や企業にとって、これは懸念すべき新展開だ。米労働者の健康は今や、稼働停止中の中国の製薬工場がいかに迅速に操業再開できるかに一部かかっているということだ。世界の医薬品サプライチェーン(供給網)は非常に複雑で、大手メーカーでさえも使用する全原材料の原産地を必ずしもたどれないと認めるほどだ。したがって、実際どの程度の影響があるのかを推測するのは難しい。ただ、さまざまな証拠を照らし合わせると、中国の工場の閉鎖が晩春まで続けば、製薬会社は幅広い製品について深刻な問題に直面し始める可能性がある。
医薬品供給脅かす新型コロナ、材料輸出国は中国
製薬工場再開はいつになるのか
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