もし65歳から90歳まで25年間生きると考えると、毎月20万円程度で生活するならば、ほぼ公的年金(夫婦2人のモデル年金額は月22万円)だけで過ごすことができる。月35万円の生活をするならば、公的年金のほかに、概算で4500万円(〈30万円-20万円〉×12カ月×25年)、毎月50万円のプチセレブ的な生活を続けるならば9000万円(〈50万円-20万円〉×12カ月×25年)必要という計算になる。

 断っておくが、これは4500万円の貯金が必要という意味ではない。退職金と貯蓄、それに定年後も働いて稼いだ収入を合計したものだ。

 ただ、これらはあくまで机上の計算数値であり、交換価値としてのお金は一律でも心理的価値は人によって大いに異なる。

 たとえば、前衛美術家の赤瀬川原平さんがいろいろな人に「フリーハンドで1万円札の絵を描いてください」というと、貧乏な人ほど1万円札を大きく書いたそうだ。時給1万円稼ぐ人と1000円の人では、同じ1万円も同列には論じられない。支出面でも、海外の観光地を長期間巡ることが贅沢だと考える人もいれば、国内のひなびた温泉で何日か過ごすことでよい人もいる。老後の過ごし方は人によって千差万別なので、老後資金の必要額にも正解はないといえそうだ。

退職時に必要なお金は?
金融商品の説明に疑問 

 シミュレーションを受けた後に、証券会社の担当者の説明を受けるとともに、金融商品を勧める会社のHPを読んでみた。「退職時に3000万円必要」などと書いてある。

 よくよく見るといくつか疑問が生じてきた。