物言う若手首長と対照的な初動、出遅れた安倍政権は支持率急落
2月29日、首相の安倍晋三への要望後、取材に応じる北海道知事の鈴木直道(中央)。鈴木は立て続けに「緊急事態宣言」を表明。出遅れた安倍に代わって地方主導で先手対応した Photo:JIJI

「首相として国民の生命と暮らしを守る大きな責任を果たすため、先頭に立ってなすべきことは決断する」

 新型コロナウイルスの感染問題が表面化してからほぼ1カ月半、首相の安倍晋三が初めて記者会見を開いた。2月29日午後6時すぎ。首相官邸の記者会見場に姿を見せて延々と釈明、説明を繰り返した。

「政治は結果責任だと言ってきた。逃れるつもりはない」

 安倍はこう言い切ったが、本当にその覚悟があったのか──。記者会見といいながら、質問者を無視するかのように会見を一方的に打ち切った。自民党長老の一人は辛辣だ。

「安倍政権にとって命運の懸かる分水嶺にある。修羅場をくぐったことのない政治家の限界が見える」

 安倍はなぜこれまでコロナ問題の前面に立とうとはしなかったのか。与党内には幾つかの見方がある。安倍に厳しいスタンスを取る自民党幹部は「政府内でコロナウイルスはそれほど強いウイルスではなく、感染しても発症しないケースも多いと事態を甘く見ていた可能性がある」とみている。

 加えて安倍の判断を鈍らせた特別の事情があったのは間違いないだろう。(1)4月上旬に検討されていた中国の国家主席、習近平の国賓来日(2)東京五輪・パラリンピックへの影響──だ。習来日については外務省内にも1月の早い段階から延期すべきとの意見があった。

「コロナウイルス対策に追われる中国のために、日本側から延期を申し入れるべきだ。中国側も内心は“助かった”と思うはずだ」