番組「きぼうのつばさ」キャスターの樋口廣さん、福田直美さんと林淑美理事長(右側)知的障害者が制作する番組「きぼうのつばさ」キャスターの樋口廣さん(中央)、福田直美さん(左)と林淑美理事長(右)。津久井やまゆり園事件のことも放送している。 写真提供:創思苑

神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件(津久井やまゆり園事件)は、今日、判決を迎える。植松聖容疑者から「(重度)障害者は不幸を作ることしかできない」と言われた当事者らが「(事件の背景に見えた)差別や虐待をやめてほしい」と記者会見やインターネット放送局の番組で訴えた。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

神奈川県庁のホールを
知的障害のある450人が埋め尽くした日

 2月20日、知的障害者の当事者団体「ピープルファースト」のメンバー約450人が全国から集結し、神奈川県庁のホールを2階席まで埋め尽くした。目的は黒岩祐治知事に「私たちが願う新しい障害福祉」の要望書を手渡すためだった。

 3年半前、津久井やまゆり園事件が起きたとき、知的障害のある人は自分たちが殺されてもおかしくなかった状況下に置かれ、強いショックと衝撃を受けた。ピープルファーストのメンバーの中には「あまりにも恐ろしくて、電車に飛び込みそうになった」と言う人もいた。

 ピープルファーストジャパンで会長を務める中山千秋さん(53歳)は事件の直後、「障害があると、生きていたらあかんのか。腹が立ちます。好きで障害者として生まれたわけではない。殺されるために生まれたわけではない」とコメントを残した。いまも、その怒りは消えない。