土地所有者の罪
反社会的勢力も参入

 残土問題を引き起こしているのは国や業者だけではない。処分業者などから話を持ちかけられ、土地を貸してしまう「土地所有者」の問題もある。

「過去の事例では、処分業者から話を持ちかけられ、後継者不足により使用・管理レベルが低下している農家が、農地上部の良質な土壌を園芸用として売却し、そこに残土を埋め立てた例もあります。農家にしてみれば、良質な土壌を売った時、残土を埋め立てた時の2度収入が得られるため、契約してしまったのでしょう」

 特に田舎に行けば行くほど、土地管理者の意識が希薄になる傾向があり、そこにつけ込む事業者も少なくないのだ。

「ちゃんとした処分場では、残土による水質汚濁や崩壊が起きないように整備もしっかりしているため、それなりに処分費用も必要です。自治体によっては残土を引き取る公共の施設があり、たとえば大阪湾フェニックスセンターでは、管理を必要としない残土の場合、1tあたり1210円~1540円。10tトラック1台分なら単純計算で1万2100円~1万5400円もかかります。しかし、土地を借りて単に積み上げるだけだったら、処分費用はほとんど0円で済むというわけです」

 中には数億円単位でもうけている悪徳業者もおり、反社会的勢力が関わっているケースも見受けられるという。

「かつては廃棄物の世界に反社会的勢力が入り込んでいましたが、取り締まりが強化され、次に彼らが目をつけたのが残土でした。現行の都道府県条例の罰金100万円(上限)では抑止力になりにくいですし、今はまだ厳しく取り締まる法律もないため、残土の世界から反社会的勢力を追い出すのは難しいでしょう」

 このように残土問題では、さまざまな関係者の思惑が絡み合っている。残土が「資源」という位置付けである限り、今後もその構図は大きくは変わらないのかもしれない。