佐川急便とタクシー会社が
ドライバーを融通し合っている例も

 例えば、平時はタクシーや観光バスの運転手だが、今回のようなウイルスパニックが起きて業務が激減すれば、各社のドライバーを助っ人的に宅配会社に「レンタル移籍」のような形で派遣する。そして、騒動が終息すれば、またタクシーやバスの運転手に戻れる。そんなシステムをつくるのだ。

 タクシー会社や観光バスの会社側からすれば仕事がない中で、社員を遊ばせずに稼がせることできるし、宅配会社や物流会社も爆発的に増えた需要に対するドライバー不足を解消できる。もちろん、ドライバーにとっても仕事ができるのでありがたい。誰も損はしない。

 タクシーの運転手が荷物なんか運べるかと思う人もいるかもしれないが、既に佐川急便が、京都のタクシー会社、山城サヤカ交通とそのような取り組みをしている。そのように考えれば、タクシーや観光バスの車両をそのまま宅配や物流へ利用したっていい。もちろん、タクシーの場合、大量の荷物は運べないが、ネット通販のごく小さな個人荷物などは十分に対応できる。

 宅配クライシスの時によくいわれたように、もはや「宅配ドライバー」というのは、この社会共通のインフラである。この限られた資源の必要性は、今回のようなウイルスパニックではさらに高まっていく。ということは、このドライバー不足問題を解決しないことには、「ウイルスに強い社会」にはなれないのだ。

 今回のウイルスパニックで多くの人が痛感しているのは、AIやロボットが社会を支えるというのはもうちょっと先の話であって、まだ我々の社会を支えてくれているのは「人間」だということだ。商品を運んでくれるドライバーや、病院で医療を提供してくれる医師や看護師、スーパーやドラッグストアで働く人たちがいなくなっては、我々はウイルスと戦うこともできないのだ。

 そのような意味では、最も「ウイルスに強い社会」というのは、このような人たちが安心して働き続けることができるような、賃金や労働環境を確保できる社会なのかもしれない。