新型コロナで不況にあえぐ業界は数多いが、一方で仕事が爆発的に増えている業界がある。巣ごもり消費を支えるネット通販だ。ネックとなるのはドライバー不足。つまり、ここを普段から解消できる仕組みをつくっておけば、今後も度々人類を襲うであろう「未知のウイルスに強い社会」になることができる。簡単ではないが、対策がないわけではない。(ノンフィクションライター 窪田順生)

新型コロナで
盛況な業界もある

宅配ドライバー不足解消は社会にとって必要です。ドライバー不足の解消を真剣に考えなければ、未知のウイルスとは戦えない Photo:PIXTA

 もういい加減、暗い話はたくさんだとゲンナリしている方も多いのではないか。マスコミが連日取り上げている「新型コロナ関連ニュース」のことである。

 今日は感染者がこれくらい増えましたとか、お客さんがまったく来てくれないので売り上げが激減しましただとか、今度は何が品切れになりましただとか、暗い気分になる話ばかりを朝から晩までタレ流している。

 実際、今の状況はお先真っ暗なんだからしょうがないと思う方もいるかもしれないが、そうとも言い切れない。例えば、スーパー、ドラッグストア、出前、教育関係書籍、通信教育などなど、世の中には新型コロナパニックでも大盛況という業界もちゃんと存在しているし、こういう状況に陥ったことで、改めて価値が再確認されたビジネスも山ほどある。

 そのような明るい側面にもっとフォーカスを当てれば、今回のパニックを乗り切るための希望になるのはもちろん、「ウイルスに強い社会」をつくっていく上での指針にもなるだろう。

 なんでそんな社会が必要なのかというと、未知のウイルスとの戦いは人類の宿命だからだ。新型コロナの治療薬が開発されても、しばらくすれば確実に、新たな未知のウイルスが登場する。その時にまた世界中で経済活動がストップしたり、マスクやトイレットペーパーの醜い奪い合いが起きたりしないよう、社会全体で感染症リスクへの耐性を強めておかなければいけないのである。

 では、そんな「ウイルスに強い社会」をつくっていく上で我々は何をすべきか。今回の新型コロナパニックで大盛況している業界から、その進むべき道が何となく見えてくる。

 その業界とは「ネット通販」だ。

 ご存じのように、一斉休校や外出を控えてほしいという政府からの要請を受けて今、「巣ごもり消費」がすさまじいことになっている。自宅にいる子どもたちの昼食に用いられる冷凍食品やカップ麺だけではなく、免疫力を高めると言われる納豆などのヘルシーな食品なども爆売れしているのだ。

 もちろん、「巣ごもり」というくらいなのでその範囲は食料品にとどまらない。定番のトイレットペーパーやキッチンペーパーなどの紙類から、アルコールスプレーや使い捨てのゴム手袋、さらには非常食などの災害用品まで、長期化する自宅生活に必要なものがバンバン売れているのだ。

 この旺盛な消費活動を、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアとともに支えているのが、他でもない「ネット通販」なのだ。