病名は「肺マック病」
お風呂で感染した可能性も

 再検査の結果が分かるまでは1カ月以上もかかった。

「肺マック症ですね。長いこと、痰が出ていたんですよね。培養したところ、中から菌が見つかりました」

 医師は検査結果を指し示しながら続けた。

「肺マック症は細菌感染性の呼吸器疾患の一種です。非結核性抗酸菌症とも呼びます。文字通り、結核菌とは違う細菌による感染症です。菌の種類は150種類以上もあるんですが、非結核性肺抗酸菌症の80%がマック菌です。

 肺マック症は、このごろ増えています。年間約8000人が発症しており、患者さんは40代以上の女性がやや多いです。

 あなたは現在痰があるようですが、悪化してくると咳が続き、血痰が出たりするほか、発熱・倦怠感、食欲不振といった症状も出てきます。ダイエットもしていないのに急に痩せた場合にも、肺マック症を疑います。病気の進行によっては空洞などの病変が見られることもあります。

 この病気が原因で亡くなる人は、年間1000人以上と推測されています」

「怖い病気なんですね。感染するということは、誰かからうつされたのでしょうか」

「ヒトからヒトへはうつらない病気です。そこが結核との大きな違いですね。

 発症してしまうのは、細菌がいる場所へ行き、そこでマック菌などの原因菌に感染してしまうことが考えられます」

「細菌がいる場所って、どこですか」

「マック菌はとても身近な菌なんですよ。お風呂場にも、台所のぬめりやシャワーヘッドなどにもいます。42度前後の温度があり、かつ、水気の多い場所を好む性質があります。

 患者さんに、40代以上の女性が多いのは、風呂場という細菌が繁殖しやすい環境で、マスク等をせずに掃除をしている人が多いからではないかと考えられています。あとは、やはり年齢的に、免疫力が低下していることも一因でしょう。庭いじりが趣味の方だと、土埃のなかの菌を吸い込んでしまうこともあるようです。

 この病気は、数年から10年以上かけてゆっくり進行するので、いつどこで感染したのかといったことは、はっきりとはわかりません」

「治りますか」