「肺に影」はがんではなく、別の病気でした。「肺に影」はがんではなく、別の病気でした(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「肺に影がある」
再検査の通知に青くなった

「えっ」

 健康診断の結果通知を受け取った有華さん(仮名・43歳)は驚きの声を発した。血の気がサーッと引いていく。「胸部X線写真に陰影あり」「要再検査」と書いてあったからだ。健診は長年受けてきたが、引っかかったことは一度もない。今回も、胸部X線以外の結果はすべて正常だった。

(おかしいわ。何が見つかったのかしら。自覚症状も全くないのに)

 混乱する頭で懸命に考える。

(肺に影……って、もしかしてがん?ううん、それはないでしょ。だって、私はタバコ吸わないし、血縁者に肺がんの人間はいないし。あれ、でも、肺がんって遺伝するのかしら。アンジェリーナ・ジョリーが乳房を切除したのは乳がんよね。あれは遺伝性だったのよね。じゃあ肺がんはどうなの)

 スマホを取り出し、「肺がん 遺伝」で検索してみると、「家族にがんが多い場合には、がんになりやすい体質が遺伝している可能性がある」という記載が見つかった。しかし、家族歴がなければ安心なのかどうかまではわからない。第一、安心なんて、断定できるわけがない。