ドナルド・トランプ米大統領が掲げていた「4月半ばまでの経済活動の再開」という野心的な目標は、大きな障害にぶつかった。米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長(79)だ。トランプ氏が復活祭には教会に信者が戻るとの予想を示すと、ファウチ氏は大統領執務室に向かった。同氏とホワイトハウスの新型コロナウイルス作業部会メンバーのデボラ・バークス氏は、一定の対人距離を確保する「ソーシャルディスタンス」措置を解除すれば、感染者が急増するとの予測データを大統領に示した。トランプ氏は最終的に2人に同意した。関係者らによると、トランプ氏が3月29日、4月末まで行動制限の指針を延長すると決定したことは、一部の政治顧問や公衆衛生の専門家に加え、ファウチ氏の影響力を反映している。大統領に異議を唱える者は長くとどまることができないトランプ政権内で、ファウチ氏はこれまで、大統領に対する影響力を維持している。