日本は最悪の形で
デフレ脱却を果たすか

 では、日本がロックダウンされたらどうなるでしょう。日本は工作機械やロボット、半導体製造装置などの工業品の製造が得意ですが、工場が止まれば世界へ向けたこれらの製造ラインが停止することになります。

 一方アメリカや中国の工場は、その生産ラインの多くが日本からの工業機械供給に頼っています。日本の装置が海外に届かなくなり、アメリカの工場が活動を停止して、世界の工業生産額の28%を占める中国の生産力にも影響が出ると、回り回って日本に戻ってくる最終製品の生産減少へと波及します。世界のサプライチェーンはつながっているので、1カ所が止まれば負の連鎖が起き、世界的なモノ不足が起きるのです。

 そしてモノが不足すれば、当然価格は上がります。今、一部のスーパーではマスク1箱が3980円で売られていると話題になっていますが、それは実は、経済学的にみれば当然の出来事です。そしてコロナショックが進むと、そのようなコストプッシュインフレが様々な日用品で起きるようになります。

 そうなると、日本は最悪の形でデフレを脱却することになるでしょう。給料はそれほど上がらないのに、モノ不足から百均の商品価格が200円、500円と上がり、カップ麺、コンビニのおにぎり、ペットボトル飲料など気軽に手に入ると思っていた商品が、次々と狂乱物価の様相を呈するようになります。原油価格が下がっても、生産力が世界で同時に落ちてしまうので、コストプッシュインフレが起こるのです。

 それによって庶民の生活は圧迫され、日常生活はスタグフレーションの悪影響で暗くなる。オイルショックのときの、あの何とも言えない、何となく自分たちが貧しくなってしまったような気持ちが蘇ることになります。コロナショックでは、こうしたことが世界で同時に起きる可能性があるのです。

 結論を言えば、冒頭で述べた4つの危機のうち、世界恐慌の次に悪いレベルとなるオイルショック並みの危機を、我々は覚悟しなければなりません。そうならないよう、日本政府には何とかうまくコロナを抑え込んでほしいと願うばかりです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)