世界の空を飛べなくなった航空会社は、新たな仕事に忙殺されている。政府の救済策を調べ、労働組合と交渉し、機体の待機場所を探さなくてはならない。さらに、貨物輸送や異国に取り残された旅行者の帰国用フライトを手配する仕事を取り付けようと奔走している。新型コロナウイルスによる危機が高まる中、航空各社は事業拡大計画が棚上げになったばかりではない。幹部は数カ月にわたる大規模な縮小を見据えている。アメリカン航空グループのネットワーク戦略担当バイスプレジデント、バス・ラジャ氏は「向こう1~2カ月、誰も旅行しようとしない」と語る。「3カ月から6カ月先の旅行計画を立てている人もいない」アメリカン航空は夏季の国際線の便数を削減し、提携先の航空会社が拠点とするロンドンやマドリード、東京へのフライトを優先している。こうすることで、乗客は提携会社のフライトに乗り換えることができるからだ。