リーマンショックの下落時でも継続保有していた投資家は、
大きなロスを被ることは少なかった

外国債券のカテゴリーは、海外ETFの活用を積極的に検討して欲しい分野安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師 三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。WEBサイトhttps://ria-japan.co.jp/

 次に検討すべきは、外国債券(3ー1)の先進国債券です。

 2008年の経済危機(いわゆるリーマン・ショック)が起こった時には株式だけでなく、債券の価格も下落するということが起こりました。

 しかし、下落時に売却せず、継続保有していた投資家は、債券のインカムを安定的に得て、かつ満期になった債券は投資元本で償還(返却)されるため、大きなロスを被ることは少なかったのです。

 外国債券(3ー3)ハイイールド社債のイールド、というのは利回りのことで、利回りが高い=ハイイールド、ということになります。せっかく投資をするならば、大きく儲けたいという気持ちはわからなくはないのですが、ローリスクでハイリターンのものなど存在しません。

 ハイイールド社債は「投資不適格」の債券に投資をするものです。倒産の確率が高い社債などに投資することになるのです。世界中で資金が余っている時には、このような信用度の低い会社に対しても投資を行う投資家が存在します。

 しかし、経済危機などが発生した時に大きなダメージを受ける分野でもあります。以前は「ジャンク債」と呼ばれていて、投資家が敬遠をしていたのですが第1章でもお伝えした通り、「ハイイールド」と名前を変えてイメージアップを図ったことで、たくさんの資金を集めることに成功しています(個人的にはこの分野への投資は敬遠すべきと考えます)。

 外国債券(3ー4)新興国債券は、先進国以外の債券に投資をするものです。新興国ではそもそも高金利にしないとお金を集められないような国々があります。金利の高さは、信頼度が低いことの裏返しとも考えられます。

 イメージとしてはブラジルの通貨レアル建て、南アフリカ・ランド建て、メキシコ・ペソ建ての国債などに投資をするものです。国自体の信用度を表す「カントリー・リスク」も大きい投資となります(個人的にはこの分野への投資は敬遠すべきと考えます)。

 外国債券(3ー5)の物価連動債は、変動金利のアメリカの物価連動国債(TIPS)に投資するものです。値動きが比較的少ないものの、リターンも限られる傾向にあります。

 アメリカが利上げをする局面では、固定利付債券の価格は原則として下落するのですが、TIPSは債券の利回りも上昇する設計をしています。