明治安田が災害割増の支払いを決断
他の大手生保も一転して追随したわけ
潮目が変わったのは、4月8日のことだった。
この日の夜、日本経済新聞が、明治安田生命保険が新型コロナウイルスに感染して死亡した契約者(災害割増特約の契約者である約150万人)に対し、保険金を割り増しして支払う方針を固めたと報じたからだ。
それを見た他の大手生保各社は絶句。「話が違うではないか!」と息巻いた。
というのも、4月2日に金融庁から生命保険協会経由で発出された「新型コロナウイルス感染症に起因した死亡等に関するアンケート」への回答では、「約款に基づき、新型コロナは災害割増特約の対象外」というこれまでのスタンスを貫くことで、各社調整がついていると考えていたからだ。これが6日のことだ。
それが一転、明治安田が災害割増特約を新型コロナの対象にするために、約款改定を行う方針だと報道されたことで、各社は驚きを隠せなかったというわけだ。
もっとも、この件について大手各社が検討し始めたのは2月ごろのこと。その頃から明治安田の根岸秋男社長は「こうした災害のときにこそ生命保険の意義が問われる」と、前向きな姿勢だったという。
次期協会長会社として存在感を示した感のある明治安田に続き、10日には日本生命保険や第一生命保険、住友生命保険など大手生保も、新型コロナを災害割増特約の対象とする方針に転換し、“災害”に認定するに至った。だが、その方針転換には監督官庁である金融庁との攻防があった。