スーパーのPOP作りでの工夫が思わぬ副収入

 では、実例をご紹介しましょう。伊東さんは、東京を中心に展開する、主に食品を扱うスーパーチェーンの売り場主任です。いくつもの売り場を掛け持ちし、セールの企画を組んだり、商品の発注をしたり、目玉商品の売り出し方を考えたり、メーカーとのタイアップを考えたり、売り場の変更をしたり……。とにかくやるべきことはヤマのようにあります。

 そんな中でも伊東さんが得意にしているのがPOP作りです。売り場で商品の近くに貼られていたり、置かれていたりして、商品を魅力的に見せるためのアレです。POPを書くと、商品がよく売れる。それまで低調だった商品が売れ出すのです。しかし、伊東さんはそれを特別なこととは考えていませんでした。仕事だからやっている。そんな意識だったのです。

 ある時、部下の女性から予想外の話が飛び込んできます。地元の小売業の集まりで、POP作りがうまい人を探していたので伊東さんを紹介しておいた、と。要は地元で仲のいい商店街の店舗従業員を相手にPOPの作り方をレクチャーしてくれないか?というお話です。伊東さんは人前で話した経験はあまりありませんでしたが、店の宣伝にもなると引き受けました。

 結果、伊東さんの講義は大盛況で、定期的に行ってほしいと頼まれることになったのです。ギャラは商店会が出してくれるということで、正直、それほど大きな金額ではありませんが、立派な副収入です。

 そうこうするうちに、伊東さんの評判を聞いたある商業系の出版社から原稿執筆の依頼が舞い込みます。その結果、全国からさまざまな形でPOPの研修とか原稿執筆や、講演を依頼されるようになりました。

 ひょんなことから始めたPOPの研修が、今や副業としても、そして店のPR活動としても大きなうねりを起こしたのです。