これまでのFP相談を思い返してみると…。

 リーマンショック発生後のボーナスが全額カットされたという人。本来足りなくなるお金は50万円程度のはずなのに、定期預金の解約金100万円を普通預金に入れたところ、数カ月後には使い切ってしまった…。50万円は家計の混乱状態で、何に使ったかわからないと言う。

 がん治療が長引き、収入ダウンに加え、医療費などの支出が増えた人の多くは、「がんになりお金がかかったので、貯金を取り崩して大変だった」と言う。しかし、高額療養費の払い戻しやがん保険からの給付金といった収入を考慮すると、実は家計の収支はプラスになっているはずなのに…、というのもありがちなケース。

 不測の事態に陥った時、誰もが冷静でいられるとは限らない。動揺してしまい、家計の収支まで頭が回らず、混乱状態になるケースは本当によくある。必要以上にお金を減らすことだけは避けよう。

 不測の支出を予測したうえで対策を取ると、家計のダメージを最小限に食い止めることができるので、今、やるべきことの手順を見ていこう。

1)「通常の時」の毎月収支を確認

 毎月の収支がプラスであれば大きな問題はないのだが、赤字だとすれば、その分はボーナスで赤字補てんをしているはず。

 今年のボーナスが大幅にカットされると、赤字補てんができなくなる。また、在宅ワークや時短勤務の実施で残業代が減ったことにより、支出が収入を上回るようになった人もいるだろう。

 前回のボーナスから次のボーナス支給月までの赤字累計を計算し(=ボーナスで補填する額)、同時に毎月のムダな支出を見直し、少しでも赤字額縮小に取り組む。

2)過去の実績に基づいて、ボーナスに頼っている支出を洗い出す

 次に想定されるボーナス支出を洗い出してみる。ボーナスに頼る部分は、人により、家庭によりそれぞれだが、次のようなものがある。

・住宅ローンや奨学金、クレジットカードのボーナス返済、
・固定資産税、自動車税など税金納付
・毎月の赤字を補てんするお金
・子どもの大学等の学費、塾の夏期講習や部活動の遠征などの費用
・電化製品・家具などの購入費用
・帰省や家族旅行の費用
・ボーナスからの夫婦の小づかい など