これまで9回にわたって、コペルニクを立ち上げた背景、コペルニクが行なってきた具体的活動、途上国ビジネスにおいて日本企業が持つ可能性などについて書いてきた。そして最終回である今回は、「コペルニクがめざす次なる道」と題して、今後2~3年以内にコペルニクがどのような新展開を考えているかを紹介したい。
第1回で紹介したとおり、「直接のインパクト」「革新的なアイデア」をベースに、「ラストマイルでの貧困削減を加速させる」というミッションは変わらないが、このミッションをより効果的に達成するために、現在取り組んでいる4つの活動――①実店舗の展開、②支援からビジネスへの移行、③フィードバックの蓄積、④経営基盤の安定、について紹介したい。
①実店舗の展開:
テクノロジーを身近な場所に
コペルニクでは、オンラインのマーケット・プレースを通じ、テクノロジー供給会社、テクノロジーを必要とする人々、そして支援者をつなげてきた。そして、このバーチャルでのマッチメーキングの発展系として、テクノロジー・フェアを2年ほど前に開始した。
テクノロジー・フェアは、いわゆる「製品のお披露目会」。実際にテクノロジーを農村部まで持っていき、村人にそれらを手にして使ってもらう機会を提供するのだ。このことにより、村人はテクノロジーに対する理解が深まり、どのテクノロジーが自分たちに必要か判断できるようになる。既に東ティモール、インドネシアで10回近く行なってきた。
テクノロジーと貧困層の距離を縮める次のステップが、いま計画をしている「実店舗の展開」だ。インドネシアで多く存在するワルン(売店)をワルン・テクノロジー(通称ワルテック)として改装し、貧困層の課題を解決できるような製品を取り揃える店舗にしようというもの。農村部、ある程度都市に近い地域、この両方で実店舗を構える計画だ。
これらの実店舗を通じて、すでにニーズの高いテクノロジーを販売するだけではなく、新しいテクノロジーのテストサービスも備える。テストしたい製品を簡単な説明とともにこれらの店舗に置くことで、そもそもどれほどのニーズがあるのか、そして実際に使った人からはどういったフィードバックがあるのか、などの情報を得ることができる。
また、第9回で紹介した、われわれコペルニクが新たに始めた企業向けのアドバイザリー・サービスの一環として、その企業の試作モデルをこれらのワルテックに置き、現地リサーチにも対応する。