温水洗浄便座の直販メーカー、米トゥッシーのジェーソン・オジャルボ最高経営責任者(CEO)はもう米国のお尻は「待ったなし」だと理解している。店頭からトイレットペーパーが消え、買い物客がパニックに陥った2020年の危機を受け、同社のオンライン商品に対する需要は急増。これを目の当たりにした同CEOは確実に供給し続けるための抜本的対策を講じることに決めた。洗浄便座商品を中国から直接、空輸で出荷することにしたのだ。それは第2次世界大戦後の「ベルリン大空輸作戦」とは意味が違うが、もし米国人が一斉に洗浄便座を使い始めるならば、学者はいつの日か、米国のトイレ習慣の歴史的転機期と見なすかもしれない。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のさなかに、簡単に設置できる比較的安価な洗浄便座――世界の多くの地域に普及したが米国では今まで全く人気がなかった――は新たなブームを迎え、猛スピードで移行が進んでいる。突然これらの洗浄便座メーカーは、かつて寝具直販メーカー「キャスパー」が経験したような、新たな消費者商品のカテゴリーが形成される段階に近づきつつある。この現象には消費者ばかりかライバル企業も関心を寄せている。さらに、つかの間で消えるかもしれない需要を最善の方法で生かすための難しい選択も迫られる。
米洗浄便座メーカー、新型コロナで好機到来
トイレットペーパー不足、米国の文化的タブーを破る
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