南カリフォルニアに住む映画業界幹部のジョシュ・ヘイニー氏が日課にしているシールビーチの散歩中に見かけるのは、サーファーかせいぜい海洋生物くらいのものだった。だが最近は石油タンカー約20隻が目に入ってくる。ヘイニー氏は、そうした「侵入者」がこの辺りを行き来するプライベートヨットと衝突しないかと気が気でない。「ここはテキサス州のガルベストンじゃない」と話している。世界は石油が思いがけない場所に現れることに慣れる必要があるのかもしれない。コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がもたらした大量の余剰原油や需要の消滅は世界の原油流通システムを圧倒している。石油貯蔵スペースの不足を受けて買い手が消えた石油市場は先週、崩壊した。WTI原油の受け渡し場所であるオクラホマ州クッシングでは、売り手が買い手にお金を払って石油を引き取ってもらうケースも出た。