これからの教育に求められるのは
個人の「読みやすさ」に合わせた書体デザイン

 リリースから4年、「UDデジタル教科書体」の「読みやすさ」は、学校の電子教科書や電子黒板といったデジタル教材の普及に合わせ認知度が上がっている。

「自分の目の前にある教科書と違い、電子黒板は細い部分がある一般の教科書体で表示されると、ロービジョンの子どもでなくても座席の位置や光の当たり具合で読みづらかったりします」と高田さん。ロービジョンの子どもたちを意識して作られた書体は、ICT教育を受ける子どもたちの読みやすさをサポートできる書体でもあったのだ。

教育現場で話題!子どもの学習意欲を上げる「UDデジタル教科書体」とは?誤読が少ない書体として全学校のタブレットにUDデジタル教科書体を導入した兵庫県三木市。その様子が掲載されている「広報みき」(2019年12月号)

 これまであまり考慮されていなかった、子どもの「見え方」と「読む」ことの関係性に切り込んだ画期的な「UDデジタル教科書体」だが、高田さんは「『UDデジタル教科書体』は万能ではなく、読みにくい人もいます。この書体に変えれば、誰でも読みやすくなるという誤解もあるようで、目的や対象者などを皆さんにきちんと理解して利用してもらえるように、私たちも努力して伝えていかなくてはいけないと感じています」と付け加えた。

「白い紙に黒い文字」がまぶしくて読みづらいなど、読みにくさの原因は子どもによって異なる。「読み」の負担は子どもの学習意欲に関わってくるが、デジタル技術はこれまでの集団教育では難しかった、個別に対応した「読みやすさ」を可能にできる。そして何よりも、教える側にとっては一部の子どもたちに届かなかった部分に配慮できるというのは喜ばしいことだ。ユニバーサルデザインの理念につながっている「UDデジタル教科書体」は、「学びの機会をどんな子どもたちにも提供する」、これからの教育への取り組みである。

(まついきみこ@子どもの本と教育環境ジャーナリスト/5時から作家塾(R))