免れなかったコロナの感染拡大
ロシア経済を襲うダブルパンチ
コロナウイルス感染の世界的拡大(パンデミック)の波に、ロシアもまた飲まれている。
当初ロシアでは、発生源である中国との間で2月に交流を絶ったことなどから、感染者数が少ないとみられていた。しかし、感染の中心地である欧州との交流が3月上旬まで続いたことなどから、感染者数は4月以降に急速に増加することになった。
また、ロシアと国境を接する中国の黒竜江省では、ロシアから陸路で帰国した中国人の新型コロナウイルスへの感染が続々と報告されており、発生源である中国がロシアに対して警戒感を持つという「逆転現象」さえ生じている。そもそもの検査体制の不備もあり、ロシアでは公表されている人数以上の感染者数が存在するという懸念は非常に強い。
ロシアでは、3月末から首都モスクワを中心に都市封鎖(ロックダウン)が実施されており、市民の憩いの場であるロシア正教の教会にも信者が集まれない状況だ。4月18日に救世主キリスト大寺院で行われた復活祭の礼拝もキリル総主教らのみで行われ、信者の参列なしにテレビ中継が実施された。プーチン大統領ら政府要人も、礼拝に参加しなかった。
ロシア保健省は3月末、コロナウイルスの感染拡大が4月の末から5月の初めにかけて収束するという見通しを示した。コロナウイルスが急性のウイルス性呼吸器疾患のグループに分類されることから、気温の上昇と共に収束が期待されるためである。しかし、当然ながら確証などないため、実際の収束は保健省の予想よりも後ズレするかもしれない。
原油安でもはや財政拡張は困難
有効なマクロ経済政策が打てない苦悩
各国とも政府が財政拡張を、中銀が金融緩和を強化して、景気の下支えに躍起となっている。コロナショックはカネもさることながら、ヒトとモノが動かない経済危機であるため、財政と金融の両面から景気を下支えすることには限界がある。とはいえ、金融市場の混乱を鎮めるためにも、各国の当局が経済対策を強化せざるを得ない状況に置かれている。