新型コロナウイルスの早期警戒システム構築を目指しているエリック・アルム教授は、たいてい朝からマサチューセッツ州の下水を調査している。まず未処理の下水40ミリリットルが入った容器を開ける。家庭排水を集める州の下水処理場で採取したものだ。次に、サンプルはマサチューセッツ工科大学(MIT)で分析される。アルム教授率いる科学者チームの思惑通りであれば、たちどころに微量の新型コロナウイルス遺伝子の痕跡がみつかる。MITのマイクロバイオーム(微生物叢)情報・治療学研究所の共同所長を務めるアルム教授は、「インフルエンザは下水で検査するのはかなり難しい」とした上で、「幸いに、新型コロナは十分な量が排せつされる」と語る。