新型コロナウイルスの影響により、多くの企業で従業員が自宅での勤務を強いられることになった。そこで脚光を浴びているのが、パソコンやスマートフォンを通して複数の人がリアルタイムに顔を見ながら議論ができるビデオ会議だ。大手企業も使わざるを得ない状況になりつつあるが、そこに、日本企業がデジタル時代に適応できるかどうかのヒントがあるように思う。
まずビデオ会議を始めることによって、会議で発言せず貢献していない人が浮かび上がっているという。普段なら会議の場にいれば、それで仕事をしたことになったのだが、ビデオ会議では各人の発言が重要で、発言しない人は明確に分かってしまうからだ。
ビデオ会議の良いところは、議論の中身に集中できることだ。それは、ビデオ会議のコミュニケーションの主体が言葉だからだろう。
言葉は、ロジックを伝えるのに向いている。具体的な目的や論点が明確ではない状態でビデオ会議に出席すると、議論にならず、ただのおしゃべりになってしまう。
一方、顔を合わせる普通の会議では、言葉を超えた意味合いを伝えることができる。例えば、自分が相手を批判するような場合、同じ会議室の中であれば、その場の雰囲気や話し方、態度で相手を傷つけないように配慮することができるだろう。また、難しい意見を述べる場合、相手の顔を見ながら、途中でトーンを変えたり、内容を調整したりすることも容易だ。
このように、場を共有しているからこそ、身振り手振りや顔つきで意図や気持ちを伝えることができたり、リアルタイムに反応を見ながら議論を進めることができたりするのは、顔を合わせる会議の利点といえる。