米ニューヨークの病院の緊急処置室に運び込まれた際、ガーボン・ラッセル氏(67)は呼吸困難に陥っていた。退院までの2週間、同氏はまさに全身で新型コロナウイルスと戦い続けた。ラッセル氏は肺に炎症があった。肺胞と呼ばれる小さな袋状の組織に液体がたまり、酸素が血流に送り込まれるのを阻害していた。感染による敗血症性ショックで腎臓も機能停止の状態だった。その後、ようやく危機を脱したと思われたとき、担当看護師は左足が腫れていることに気づいた。深部静脈に血栓ができているのを医師らが発見した。ラッセル氏は自分が生き延びられたのは運がよかったと感じている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の増加に伴い、病気のダメージが肺にとどまらないことを医師は理解し始めた。肺では肺炎や急性呼吸促迫症候群(ARDS)を引き起こし、ラッセル氏のように致命的状況に至る場合もある。さらにこの病気は脳や腎臓、心臓、血管系、消化器系などにも影響することがあり、一部の患者は脳卒中や肺塞栓(そくせん)症、心臓発作の症状などを示す。また腎不全や胃腸炎を起こす場合もある。
コロナ合併症、全身におよぶ重篤化リスクとは
炎症が引き起こす血栓が複数の合併症に共通するとみられる
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