保険会社が、入院を想定していた数より患者がますます増えていくという前提に立てば、医療保険の保険料も引き上げ方向になるのではないか。コロナだけではなく、未知の感染症が突如発生するリスクを織り込む必要が出てくれば、これまで続いていた医療保険料の低価格競争は一服すると思われる(ちなみに、新型コロナは指定感染症のため、治療にかかる費用は公費負担になるので、慌てて民間保険に入る必要はない)。
「これから下がりそうなもの」の中で
生活に最も影響が出るのは?
家計から離れてもう少し「コロナ明け」を俯瞰してみると、次のようなモノやサービスの価格も上下しそうだ。
リモートワークが通常になれば、郊外に引っ越すことで家賃を下げようとする人が増えるかもしれない。都心の住人が減っていけば家賃の下落要因にもなる。さらには、外国人投資家が動けないので、投資用不動産の売れ行きも厳しい。
同じく、インバウンド特需が消えたので高級品は値下がりしていく。緊急事態宣言前にブランド質屋で聞いたときも、売れ行きには相当ダメージが出ていて、こまめに値段を改定しているとの話だった。
なお、感染予防のために消費がオンライン主流になれば、サービス利用者が支払う金額はリアル取引に比べて下がる方向に進むだろう。そう考えると、やはりしばらくはデフレ傾向に進み、経済が大きく膨らむことはなさそうだ。
となれば、残念ながらこれから下がりそうなもののうち一番可能性が高いのは、我々の所得かもしれない。
(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)