米国の5月の雇用状況が4月ほど悪化していない、というのは朗報だ。だが、実質的な改善にはまだ時間がかかるだろう。米労働省は21日、16日までの1週間の新規失業保険申請件数が240万件(季節調整済み)だったと発表。前週の270万件から減少し、コロナ危機が本格化した3月半ば以来最も少ない数となった。それでも、平時であればエコノミストを青ざめさせる水準には変わりない。ただ、5月の雇用統計が4月のようにひどい内容にはならないだろう、ということは示唆されている。先週は、労働省の月間雇用統計の基準週(通常は毎月12日を含む暦週)で、この週の状況を基に雇用者数と失業率を計算する。3月から4月の基準週までの新規失業保険申請件数は2650万件。4~5月は1220万件と3〜4月ほどではないが、まだまだ恐ろしい数字だ。さらに、実際の状況と失業保険申請件数にはある程度時間差がある。職を失った後すぐに申請しない人もいるからだ。さらに申請が殺到した各州の受付体制は手一杯で、ますますそのずれが大きくなっている。
5月の米雇用統計、最悪期脱しても期待は禁物
失業保険申請数の増加は一息ついたものの、最新の雇用状況に楽観はできない
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