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国勢調査で発掘! 東京23区お役立ちデータ

シルバーパワーがみなぎる街

高齢者就業率ナンバーワンの区はどこだ?

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第9回】 2012年8月28日
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特効薬は新陳代謝

 わが国の高齢化問題の深刻さは、高齢化率の高さより以上に、そのスピードの速さにあるといわれている。1990年から2010年までの20年間で、日本の高齢化率は12.1%から23.0%へと、11ポイントも上昇した。同じ数だけ高齢化率が増えるのに、イタリアは50年、ドイツでは60年以上を要している。

 05~10年の5年間を見ても、日本の高齢化率の上昇幅は2.8ポイントを数える。一方、東京23区は、その半分の1.4ポイント。東京で高齢化の進展が緩やかあることの最大の理由は、人口が増加しているからに他ならない。

 実際、過去5年間に人口が10%以上増えた都心3区と豊島区は、高齢化率が低下している。このご時世で、高齢化とは逆のトレンドが進んでいるのだ。00年、05年と高齢化率トップだった台東区も、23区中ベスト10に入る人口増加に後押しされて、10年の順位が2位に改善した。

 「逆もまた真なり」。日本全体で見るとその通りなのだが、街単位では必ずしもそうとばかりはいえない。例えば、05~10年の間で人口増加率が最も低かった渋谷区は、同期間中の高齢化率の上昇幅が12位に止まる。渋谷区は人口の転出入が多く、街に活発な新陳代謝があるからだ。

高齢化対応の特効薬は、街に新陳代謝を生み出すこと。少し難しい話をすると、高齢化は「ストックの問題」として扱われることが多いが、実は「フローの問題」なのである。

東京の中の「過疎地」

 では、高齢化のスピードが速いのはどんなところだろうか。上位に並ぶのは、北区、足立区、葛飾区、板橋区、江戸川区。共通する特徴は、そう団地の区だ。

 団地は、新陳代謝が進みにくい典型的な存在である。もちろん、団地の存在だけで高齢化率が高くなっている訳ではない。だが、新陳代謝が低い街の姿を団地は象徴している。

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池田利道
[一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也
[一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら

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国勢調査の結果は、大規模なデジタルデータベースとしてネット上で公開されているマーケット開拓情報の「宝の山」だ。反面、その内容があまりにも精緻であるがゆえに読み解き方は難しい。当連載では東京23区を例に取り、膨大な国勢調査データを実務に生かすヒントを紹介する。

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