スズキ電機工業(仮)への営業コンサルティングレポートの第3回。スズキ電機工業は法人向け電気機器販売という、飽和した市場で業績が伸びずに苦しんでいた。新規顧客の獲得こそ、同社の成長のカギを握るのだが、新規顧客は、すなわち競合他者のお得意先企業だ。競合他社に横取りされまいと囲い込んでいる企業から、なかなか受注は取れない。コンサルティングレポートの第2回では、“狙い撃ち”作戦に取り組むことが有効だと分かった。第3回では、具体的に“狙い撃ち”作戦に邁進するための、営業組織はどうあるべきかを考えていく。

新規開拓は自分の仕事じゃない

 筆者:「決して、時間をかけて新規開拓しようというお話ではありません。時間は仕掛ける側がコントロールすべきものですから、そこはしっかりと型を決めていきます」

 鈴木社長:「では、まず千葉営業所で具体的に進めてもらいましょうか」

 どうやら、“狙い打ち”作戦の考え方については賛同してくれたようだ。そこで筆者は、この作戦を推進していく上で障害になると思われる課題を解決するために、もうひとつお願いをすることにした。

 筆者:「社長、この“狙い打ち”作戦を成功させるためには、もうひとつ解決しておくべき課題があります。それは、会社としてこの作戦を是非とも成功させたいという本気度を示すことです。千葉営業所のメンバーに対しては、営業所全体の新規開拓件数とそれに伴う新規売上実績を最優先に評価し、その次に営業所全体の売上実績(つまり1人当たり生産性の増加)を評価する、つまり評価方法を変更することを承諾してほしいのです」

 鈴木社長:「新規開拓に関してはいつも本気で伝えているつもりですが、何か評価の部分で問題があるということでしょうか?」