世の中には3種類の嘘がある

「世の中には3種類の嘘がある。普通の嘘と真っ赤な嘘と、統計だ」という言葉をご存じだろうか? 統計によってはじき出された結果は数字やグラフを介して伝えられるため、圧倒的な説得力を持つ。実際「統計的に~です」と言われたら、反論を許さないような雰囲気を感じる人は多いのではないか。

 しかし、統計はいつも正しいとは限らない。データが偏っていたり、適切な処理が行われていなかったり、もっとひどい場合にはデータそのものが改竄されているケースすらある。それでも、その強い説得力のせいで、間違った統計が淘汰されることなく独り歩きしてしまうケースは少なくない。

 アメリカのトランプ大統領が初当選したとき、トランプ氏の勝利を事前に予測したメディアはほとんどなかった。『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ多くのマスコミは、世論調査という「統計」を引き合いに出し、こぞって対立候補のヒラリー・クリントン氏の勝利は確実であるかのように報道していたのである。しかし、蓋を開けてみたらそれは大嘘だった。

 AI、機械学習の台頭により数字が存在感を増すこれからの時代は、ますます正しい統計と誤った統計が入り乱れる世の中になると思う。だからこそ我々は、真の統計リテラシー(統計から的確に情報を読み解き、合理的な意思決定ができる力)を身に付けて、宝の山であるデータから本当に必要な、そして正しい情報を引き出せるようにならなければいけない。

(本原稿は『とてつもない数学』からの抜粋です)