Whataboutism(ホワットアバウティズム)
〇〇はどうなんだ主義

 日本語では「そっちはどうなんだ主義」などと訳されることもあるようだ。

 現在アメリカで起こっている黒人差別反対デモの中でも、このwhataboutizmは頻繁に観測できる。

 例えば、デモのスローガンともなっているハッシュタグに「#BlackLivesMatter(黒人の命は重要)」がある。説明するまでもなく、これまでの黒人差別の歴史を踏まえたスローガンだ。しかしこれに対し、「アジア人差別や、ときには白人差別の問題だってある」「黒人だけではなくすべての人類の命が重要だから#HumanLivesMatterだ」と論点をずらすのも、「そっちはどうなんだ主義」。

「すべての人類の命が重要」や「○○差別も問題だ」という指摘は、それ単体で見ると正しい。しかし着目するべきはwhataboutismをする人たちは、差別を訴える人にイチャモンをつけ、活動をストップさせる狙いを持っていること。

 議論をしたいのではなく、議論を停滞させたいのである。

「りんごが売れなくて困っている」という話をしているときに、「みかんだって売れなくて困っているんです!」と言ったって、問題解決に至らないことは誰でもわかるだろう。

 ある社会運動をしている人に対して、「〇〇の問題を訴えるなら、××もやれ!やらないなら差別だ!」というのはよくあるイチャモン。

 問題を感じるなら問題を感じた人がそのときにやればいい。ただそれだけ!

ストローマン
あるいは藁人形論法

 相手の意見をわざと曲解して反論を行うこと。ある指摘を、「反論しやすい他の指摘にすり替える」といえばわかりやすいだろうか。

 たとえばこんな風に。

りんごさんチーム:「りんごさんチームはこれまで、みかんさんチームから理不尽な攻撃を受けることがたびたびありました……」
みかんさんチーム・A:「なんだって?みかんさんチームが危険だっていうのか?おーい、みんな!りんごさんチームが『みかんさんチームは理不尽な攻撃をするチームだ』と決め付けているぞ!」
りんごチーム:「そうじゃなくて、そのようなケースがあったということを言っているのであって……」
みかんさんチーム・B:「おいおい、決めつけは良くないな!これじゃあみかんさんチームへの誹謗中傷だよ!」
いちごさんチーム:「りんごさんチームがみかんさんチームを誹謗中傷したらしいよ」
れもんさんチーム:「誹謗中傷は良くないね……!」

 ちなみに「ストローマン」を検索すると、宇多田ヒカルさんが2018年にしたツイートが話題になったことがヒットした。