【管理職のお悩み(2)】
部下がさぼっていないか、不調をきたしていないか心配です

Q.私には部下が5人います。ある部下はさぼっているように見えています。別の部下は働き過ぎて心身に不調をきたしていないか心配です。どうすれば、対面のときのように部下をマネジメントできますか?

「さぼっていないか心配」「働き過ぎていないか心配」というお悩み。前者は部下に対してネガティブに、後者はポジティブに思っているように見えますが、実は根っこにある思考は同じだといえます。

 両方とも、うちの部下は自律的に仕事ができるのか、任せておいて良いのかという不安が根本的にあるから、こんな心配が生まれるのです。ですから、部下側は自律的に業務を遂行できる大人として見られるように振る舞わなければなりませんが、それについては別の機会でお話ししましょう。

 上司としては、この機会に部下を「責任感を持って働く大人」と信頼することが大事です。それがまだ難しければ、部下が自律的に働けるようになるための良い機会と捉えましょう。

 とはいっても、部下の経験値や部署に着任してからの習熟度や業務の種類による部分もあります。なので、最初のうちは、「始業と終業時に今日1日の業務について説明する、振り返る」といった細かい管理を行うのも1つの方法です。部下がテレワークに慣れて、仕事に集中できるような環境になったら、細かい管理は不要になるかもしれません。

 テレワークが浸透すると増えるのが、急にマイクロマネジメントを始める上司です。「業務内容をリストで出せ」とか、「何時から何時まで昼休みだったか報告しろ」など、今まで何も管理していなかった上司が急に細かい行動を把握したがるようになります。これが行き過ぎると、部下はとてもつらくなってしまいます。

 もちろん細かく管理したくなる管理職の方の気持ちもわかります。これまではちょっとした雑談から、部下の様子を察して、仕事に介入できていたのにそれができない。だからそれを補うために、善意の気持ちもあって部下の情報を集めたがるのです。

 ただ、その気持ちはぐっとこらえて、始業の挨拶をして、終業時に報告をするくらいにとどめるのがいいのではないでしょうか。

「対面のときのようにマネジメントしたい」とのご相談文から、オフラインが上位階層にあって、オンラインはその劣化版と考えている傾向があると読み解けます。しかし、それぞれにそれぞれの良さがありますから、それを生かして、うまくマネジメントをしていただきたいと思います。