この前年に起こったのはリーマンショックが引き金となった景気低迷だった。今回のボーナス減は、「東日本大震災」や「タイの洪水被害」などの影響が長引いたことや、深刻な「円高」が要因。企業からすれば、いずれも予測不可能な、避けがたい外部要因に端を発するものだ。

リーマンショック後と似た世相
「やんちゃ買い」は復活するのか?

 この記事を執筆するために2009年夏の状況をリサーチしていたのだが、その途中、懐かしい造語を思い出した。「やんちゃ買い」だ。当時、人気テレビプロデューサー・おちまさと氏が代表を務め、主に男性の消費を盛り上げる目的で活動していた「『男のやんちゃ買い』推進委員会」なるプロジェクトによる造語である。

 同プロジェクトによると、「やんちゃ買い」とは、「メジャーなブランドや商品でなくても、モノとしてのクオリティの高さに惚れ込んだら、値段が少し高くても購入する」という意味。おち氏自身、「今最も欲しいのは、バンダイの200万円の超合金『URBAN MATERIAL CHOGOKIN マジンガーZ』です」と発言していた。

 話を戻そう。この「やんちゃ買い」という造語は、リーマンショック以降、ボーナスが激減して、節約生活を続ける市民の間に広まっていた「もう節約はイヤだ。そろそろ好きなものを買いたい!」という気持ちを代弁して、にわかに流行った言葉だ。

 そんな景気低迷により、サラリーマンが我慢を強いられていた当時の状況は、「東日本大震災」「タイの洪水被害」「円高」の三重苦で痛い目に遭っている今年の状況にオーバーラップする。

 だとすれば、東日本大震災以降の自粛傾向が薄まっている足もとで、「もう節約生活は嫌だ!」という声が上がってもおかしくない。

 しかし、実際はそうでもないことが、定量的に証明されている。総務省統計局が7月27日に発表した2012年年6月の全国消費者物価指数(総合指数)は、前月比0.5%、前年同月比0.2%のダウントレンドにある。7月以降は一時的に猛暑効果やロンドン五輪効果が反映される可能性はあるものの、依然として低水準だ。

 消費が上向かないことは、それだけ国民の将来に対する不安が強いことを表している。毎月の給料よりも「やんちゃ買い」の原資に使われやすいボーナスが減少していることは、国民の防衛本能をさらに強めかねない。今後も消費が増えなければ、企業収益の悪化により、サラリーマンの収入はさらに減ってしまうだろう。