図1 参照ケースのGDPと発電電力量の想定

 (公財)地球環境産業技術研究機構(以下、RITE)システム研究グループの分析によると、GDPと発電電力量の関係を、過去の実績と大きく乖離しない程度まで修正して再計算されたGDP成長率は、甘めに見積もっても原発25シナリオで年率0.8%程度、原発ゼロシナリオでは年率0.5%程度になるとしている。これでは、政府の慎重シナリオの1%成長さえ大きく下回ってしまう。

 このように、全ての選択肢の前提において、経済性が著しく軽視されているのである。エネルギー・環境に関する選択肢の政府文書には、「原発依存度を下げ、化石燃料依存度を下げ、CO2を削減するというシナリオを用意し、その中でも経済性という要素も加味して、エネルギーの選択をしなければならない」とある。つまり、経済性というのは“香辛料”程度の扱いでしかないのである。

 また、節電・省エネの可能性が、いずれの選択肢においても過大に見積もられている。必要な省エネへ投資額は80~100兆円で、それによる節約額が60~70兆円とされている。とすれば、自然な経済行動では省エネ投資を行うはずはなく、想定されている省エネは達成できない。

 したがって、特に原発ゼロシナリオにおいては、重油ボイラーの禁止や、省エネ性能の劣る空調の改修義務付け、ストーブなどの省エネ性能の低い製品の販売禁止、ガソリン車などの中心市街地への乗り入れ制限など、もはや「省エネ」を行き過ぎて法的にエネルギー使用を禁ずる「禁エネ」対策を行わなければならないのである。

高すぎる再生可能エネルギー比率

 二つ目は、発電電力量に対する再生可能エネルギーの比率が過剰に高すぎるという点である。今回見直しの対象になっているのは、2010年6月に策定された現行のエネルギー基本計画だ。これは、鳩山政権の掲げた温室効果ガス1990年比▲25%削減という非現実的な削減目標を達成するため、つじつまを合わせるように策定された計画である。

 その計画では、温暖化対策のため二酸化炭素を排出しない電源である原発と再生可能エネルギー比率を、現実的に達成可能と見込まれる以上に、過大に見積もった。その結果、2030年の電源構成で原発比率は発電電力量の50%強、再生可能エネルギー比率は20%弱とされた。この計画策定時にも、再生可能エネルギーは目一杯積み上げられて、その実現性に疑問符が打たれていたのだが、今回の3つの選択肢ではいずれも再生可能エネルギー比率は25~35%となっている。この2年で特に大きな技術革新がなかったにもかかわらず、この比率がどうやってはじきだされたのか、驚きを禁じえない。