コミュニティの成果はどう測る?

廣瀬:成果という面では、私たち「NoMaps」の場合は、まず資金を拠出している札幌市に報告義務があります。市の方針として、スタートアップの育成や新産業の創出を目指していますから、その文脈で図れる指標を設定しています。現状は年間を通して起業数がどのくらい増えたか、というといった指標を置いています。

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 ただご指摘の通り、それ以上の効果がなかなか数値化できていないもどかしさもあります。

 「NoMaps」のおかげで生まれた企業コラボレーションも確かに存在します。そこから生まれたサービスがもたらした経済効果が把握できたら素晴らしいなとも思います。ただ実際には難しいので、現在は聞いた話をできる限り記録して具体的な事例として報告しています。

 例えば最近だと、ゲーム会社のインフィニットループとドワンゴが合弁で設立したバーチャルキャストという会社が始めたサービスが大きな反響を集めました。結果として10億円を、KADOKAWA取締役の川上量生さんから調達しました。

 こうした勢いのあるスタートアップのニュースは一つの成果だと考えています。これ以外にも、拾い切れていない話がたくさんあるはずですから、そんな情報を集めるような方法がないか、今も探しています。

河原あず(以下、河原):コミュニティの価値をどう説明するかは、行政や民間を問わず、組織が直面する問題です。廣瀬さんが指摘する通り、定量的に測るのは難しいので、僕らも常にコミュニティがあってよかったと思えることを、「いいこと探し」と呼んで、記録しています。

廣瀬:「いいこと探し」、大切ですよね。「NoMaps」のいいことで2019年に象徴的だったのは、グラフィックレコーディング(グラレコ)のプロが誕生したことです。その女性は、2年前に開催したグラレコのワークショップで学び始めたのがきっかけとなって、1年間グラレコを続け、2019年のメインカンファレンスで、イベントのグラレコを担当しました。

 それがもう、素晴らしくて。その後、グラレコの専門家として独立しました。今では、東京でも活躍しています。

藤田:すごいですね。

廣瀬:私たちが開催したイベントで、若い子の人生が変わる。責任も感じますが、こういう新しい出会いや機会が生まれる瞬間に立ち会えるのは、やっぱり面白いです。