ミッションと制約が不明確なら
その先には死が待っている

――ミッションと制約を企業に当てはめて言うと、どういうものなのでしょうか。

 ミッションは、例えば4月の状況で言うと、「在宅勤務に移行して事業を継続させること」でしょう。

 制約は制限とも言い換えられます。制約というとネガティブなものだと捉えることが多いと思いますが、そうとは限りません。ミッションリーダーシップでは非常に重要なものです。

 制約が明確になれば、自由な部分が明確になります。先ほどのミッションで言うと、事業を継続するために何をやっていいのかが分かります。

 では何を明確にするか。どんなプロジェクトでも必ずある制約が「予算」です。予算が不明確だと、何も進められません。

 制約について重点的に確認すべきところは、「グレーゾーン」です。

 例えば、小売店ではソーシャルディスタンスをとるという制約がありますが、その距離は2メートルなのか1.8メートルなのか、または2.5メートル取るべきなのか。曖昧ではいけません。グレーゾーンを一つ一つ解消していくことが大事です。

 戦場では、曖昧にしていれば部下が死にます。だから、曖昧なところがあったら、部下は上司に確認しなければなりません。軍隊では「言うか?死ぬか?」という言葉があって、兵士は上官に意見を言うか、質問をして確認しないと、それが戦場では死につながるのです。

 一方で上官も、部下の意見をしっかり聞くことが求められます。「聴くか?死ぬか?」とはよく言われる言葉です。部下の意見を聞く姿勢、部下が意見を言いやすくするスキルも必要です。

――企業は新型コロナというテロリストのような敵に攻撃を受けて、動揺が広がっている。リーダーは企業のミッションを簡潔にまとめ、錯綜する情報を整理しながら制約を明確にして、社員に伝える。そういうことが求められていると。

 コロナはまさに、組織にとってテロリストに攻撃されたような出来事だといえるでしょう。

 リーダーがやることは2つあって、1つは、ミッションをもう一回確認することです。コロナの攻撃によってあるべきミッションが変わったかもしれないからです。変わっていなかったら、そのことを確認すればいい。

 そして2つ目として制約は何かを考えます。今は新たな制約も出てきていますよね。緊急事態宣言下だった4~5月であれば、出社ができないので在宅勤務で仕事をしなければならない。セキュリティーは以前のままを維持しなければならないでしょうし、予算も以前とは変わってきているかもしれません。ソーシャルディスタンスは制約の最たるものだといえます。

 状況はどんどん変わっていきます。少し落ち着いた今、第2波に向けた対策も考えなくてはなりません。