大型店総崩れの小売業界
想像を上回る激震の実態
2008年9月のリーマンブラザーズ経営破綻に端を発し、世界は“100年に1度”と呼ばれる大不況に突入した。あれから早1年が経過したが、その間、あらゆる産業は文字通り「激動の1年」をたどった。
規模の大小を問わず、多くの企業が業績を低迷させ、中には市場から退場を余儀なくされた企業もあった。
小売業も例外ではない。百貨店の売り上げは前年同月比で10%前後の減少を続け、三越のように店舗閉鎖などのリストラに追い込まれたケースもある。
それまで比較的好調と言われていたショッピングセンターさえも、既存店売上高が前年同月比で12ヵ月連続マイナスを記録するなど、大型店は総崩れの様相を呈している。
いったい小売業界に何が起きているのだろうか? 想像を上回る激震の内幕を、紐解いてみたい。
我々は昨年のリーマンショック前に執筆した著書『戦略のパラドックスへの解』において、小売業界の将来に大きな影響を及ぼす「3つの不確定要素」を挙げ、それらの変動に応じて想定される8つのシナリオについて論じた。
実はその中に、現状をほぼ正確に言い当てているシナリオもある。想定外だったのは、その時間軸だ。我々が想定したよりもはるかに速いスピードで、そのシナリオが現実のものとなっているのである。
下の(図1)を見て欲しい。これは不確定要素の振れ方と、それに応じて想定される将来シナリオの関係を、模式図で示したものである。この図は、「法・規制動向」「技術動向」「消費者動向」を不確定要素の3大軸に設定し、それらの要素が引き起こすであろう2通りのトレンドを考え合わせて、8つのノード(交点)で表したものだ。
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