私は1980年代の終わりの2年間と2001年、アメリカで合計3年ほど暮らしたことがあるが(東海岸のボストン)、アメリカにおける犯罪率の高さと、そこでの尋常ではない格差・貧困が、不即不離の形で存在していることを痛感した。

 一般に、各国の経済格差の大きさと、犯罪率の高さには一定の相関関係がある。

 そして、図に示されるようなアメリカにおける突出した刑務所収容人口比率の背景には、同国における際立った経済格差の大きさ、あるいは人種問題と貧困が直結する根深さが関わっているのである。

“Black Lives Matter”をめぐる運動の盛り上がりの背景にあるのは、まさにこうした社会構造に他ならない。

米国の感染拡大と
黒人殺害事件は同じ根

 そしてまた、今回の新型コロナ・パンデミックで、アメリカにおける被害拡大が際立って大きい点も、この格差や貧困をめぐる状況と深く関わっている。

 死亡者が圧倒的に多いのは黒人などの低所得者であり、彼らは感染しても富裕層のように十分は医療サービスを受けられず、またビジネスマンなどがテレワークのように感染しにくい状況で仕事ができるのに対して、物流や小売などのサービス現場で働く人が多い。

 感染する可能性も高く、そして営業自粛などが長引くと真っ先に失業の憂き目にあう。 

 つまり警察官による黒人殺害事件を生み出す構造と、新型コロナウイルスの被害が甚大にならざるを得ない背景とは、アメリカ社会の同じ根から生まれているのだ。

 事実関係を確認すると、今回のコロナウイルスの感染拡大や被害に関し、6月21日時点で特に死者数が多いのはアメリカ、ブラジル、イギリス、イタリアの4カ国だ。

 死者数は1位のアメリカが12.2万人、2位ブラジルが5.0万人、3位イギリスが4.3万人、4位イタリアが3.5万人という状況だ。ちなみに日本の死者数は953人だ。