7月1日から始まったレジ袋有料化。廃棄プラスチックに占めるレジ袋の割合がごくわずかであるため、プラごみそのものの削減効果を疑問視する声は少なくない。ただ、人件費などさまざまなコストを負担しているコンビニエンスストア加盟店には、わずかながら恩恵がもたらされる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
海岸漂着プラごみの0.4~0.6%
レジ袋削減の効果に漂う疑問
「空飛ぶレジ袋」――。7月1日からレジ袋が有料化されるのに合わせ、吉本興業がCM動画を作成した。南海キャンディーズの「しずちゃん」こと山崎静代さんと娘役の女児が公園らしき場所で食事をしていると、レジ袋が風に乗って飛んで行ってしまう。こうして飛ばされたいくつものレジ袋が海面に落下し、ウミガメが口にしてしまう画像などとともに、レジ袋の使用を控えるよう訴える内容だ。
小泉進次郎環境相は6月25日に開かれたイベントで、「幸せなら手をたたこう」のメロディーに合わせた別のCM動画を紹介するとともに、「このままプラスチックの問題に取り組まなければ2050年には魚の量を上回るプラスチックが海の中にあふれてしまう」と述べ、海洋プラスチックごみの削減の観点から、レジ袋の使用を控える必要性を強調した。
海外では小売店や飲食店でレジ袋が使われる機会が少なく、国内で当たり前のように使われる状況を疑問視する声が出ていた。ただ、環境省が2018年9月にまとめた調査結果によると、国内の海岸10カ所で調べたプラスチック類の漂着ごみのうち、レジ袋に当たる「ポリ袋」が全体に占める割合は重量、容積、個数の順に0.4%、0.3%、0.6%だった。
重量で最多だったのは「漁網、ロープ」の41.8%。次いでライターや注射器、発泡スチロール片など「その他プラスチック」の26.7%だった。ペットボトルなど「飲料用ボトル」は重量で7.3%、容積で12.7%にも達する。
国内でのレジ袋使用量は年間20万トン程度で、廃棄されるプラスチックごみ全体の2%程度にすぎないという。またレジ袋の原料であるポリエチレンは、燃焼させると水と二酸化炭素に分解されるため、有害物質が出ないとされている。
もちろん、レジ袋の使用を削減することにまったく意味がないわけではない。レジ袋を餌と間違えて捕食し死んでしまう海洋生物もいるとされる。ただ、プラごみ全体に占める割合が極めて小さいレジ袋の使用削減に注目が集まるあまり、他のより大きな汚染要因の対策に手が付けられなくなるとすれば、実に本末転倒である。