日本国内に出回る投資信託の数は、今や約6000本。これだけたくさんの商品があると、「投資信託で資産運用を始めてみたいけれど、どれを選べばいいかかわからない!」と迷ってしまう人も多いことでしょう。本連載では、最新刊『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ダイヤモンド社)を上梓した世界No.1投信評価会社「モーニングスター」トップの朝倉智也氏が、投資信託の賢い選び方をわかりやすくレクチャーします。さあ、あなたも「長期・分散・積立投資」で、人生100年時代の長生きリスクに今から備えましょう!

もしあなたに長期の目標がないなら、投資信託に手を出してはいけない!Photo: Adobe Stock

 

投信は、すべての投資家に適している商品ではない

 ここまでの連載で、投信を活用した資産運用の基本的な考え方についてお話ししてきました。今回は、あなたに合った投信を選ぶために必要な準備をしていきます。

 でも、その前に、まず覚えておいてほしいことがあります。

 それは、そもそも投信は、すべての投資家に適した商品ではないということです。

 漠然と「儲けるため」とか「すぐに2倍、3倍になる投資をしたい」といった、長期的な目的意識のない投資家には、投信は向いていません。

 本来ならば個別の株式への投資も長期投資で行うべきなのですが、どうも短期売買で大儲けを期待する投資方法が当たり前になってしまっているようです。

 もう一つ、投資に回す余裕のあるお金(余剰資金)がまったくない人にも、投信はお勧めできません。余剰資金がない人には、投信のようなリスク商品は不向きだからです。

 毎月1万円でも運用に回せるなら問題はありませんが、「毎月ほとんど手元に残らない」というのであれば、投信に手を出すべきではないでしょう。