株式市場ではカメが最終的にウサギを打ち負かす。最も裕福になる投資家は、バンガード・グループが世に広めたような低コストのインデックスファンドにこつこつ資金を投入し、輝きを放つ新しいものには目もくれない。つまり(新興ネット証券の投資アプリで株を売買する)ロビンフッド族の対極にある人々だ。だが短期筋(ファストマネー)の貧乏人が間もなく、忍耐強い金持ちからいくらか利益をかすめ取るかもしれない。特定の株が高騰し、ファストマネーを引き寄せたかと思うと一瞬で消えるのは、気長に幅広い市場に投資する人々にとって、森の中で1本の木が倒れ、その周りに勝者と敗者がいただけのことだ。ただ、インデックスファンドは本物の「市場」ではない。ルールに則って集められた企業で構成するバスケットだ。SP500種指数に連動する株式ファンドにはあまりの巨額資金が流入するため、もうすぐ採用基準に達するという銘柄が高騰する傾向にある。自動的な買いが膨らむ期待感があるからだ。ひとたび正式に採用が決まれば、個人投資家は無意識のうちに一時的に高騰する株の持ち主となる。