「習い事ギッシリの子」の親が知るべき1つのことPhoto by Adobe Stock

新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

「自由な遊び」も大事な時間

 最近では共働き世帯が増え、放課後の居場所代わりに習い事や塾に通わせるケースも見られます。親にとっては安心できる預け先が確保できるうえに、子どもの能力も伸ばしてもらえて「一石二鳥」の気分ですが、子どもにとってはぼーっとしたり、自由気ままに遊べる時間が減るので、心身ともにそれなりの負担がかかってしまうことになります。

 遊びの研究の第一人者である精神科医、スチュアート・ブラウン博士は、大人が用意した習い事ではなく、子どもが「ただ遊ぶ」ことの重要性を指摘しています。

 自由な遊びは、感情を整え、思い通りに行かないときにも苛立ったりせず、まわりの人の話に耳を傾け、前向きな気持ちになれるといったスキルを身につけられ、自己肯定感の土台になります。

 子どもが習い事をする際には、自由に遊べる時間を確保し、適正なスケジュールを考えることが必要です。では、習い事の「スケジュール」はどう組めばいいでしょうか?

大切な1つのこと:「ぼーっ」とする時間を守ってあげる

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神科医、ダニエル・J・シーゲル教授らは、子どもが習い事による過密スケジュールに陥るのを防ぐため、次のようなポイントを意識することを提唱しています(『自己肯定感を高める子育て』大和書房)

・子どもが自由に使える時間がある
 子どもが、きょうだいや友だちと気ままに楽しく過ごせる時間、「ぼーっとしたり何かに没頭できる時間が十分にあるかどうか」を意識します。

・十分な睡眠がとれている
 習い事が多過ぎて睡眠時間が削られていないか注意します。

・子どもにストレスがたまっていない
 子どもが疲れやすかったり、不機嫌だったりしていないか、不安や緊張などを感じているそぶりを見せていないか、注意深く見るようにします。

・家族で夕食を食べられる
 毎日は難しいかもしれませんが、家族が一緒に食卓を囲む時間がまったくないほど忙しいのは心が落ち着きません。

・スケジュールに親がイライラしない
 子どもの過密スケジュールで親自身も忙しくなってしまい、ストレスがたまってくると、子どもとの対話でもイライラしやすくなります。親子で過密スケジュールにふりまわされて体が疲れていないか、精神的にもつらくなっていないか意識するようにします。

・頻繁に急かさない
「早く」「急いで」という言葉を頻繁に口にしていないか、改めてふりかえってみます。そうした言葉が出るのは、スケジュールが過密なせいだけでなく、子どもの体が疲れてしまっていて、動きが鈍くなっている可能性もあります。

早くから始めなくてもいい

 以上に加えて、スケジュールを考えるうえで知っておきたいのは、習い事は必ずしも早く始める必要はないということです。

 山梨大学大学院の教育学者、中村和彦教授がオリンピックのさまざまな競技のメダリスト40人を調査した結果、そのスポーツしか体験したことがないという人は2人しかいなかったといい、その9割は、小学校時代1日2時間以上遊んでいました。

 音楽や英語についても、日常的に親が楽しんで聴いたり学んだりしている環境があれば、子どもには良質な音が自然と耳に入り、センスが身につくことにつながるようです。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)