したたかだった
韓国の音楽業界

「世界市場に頼るK-Popは、コロナ禍で悲惨な状態になる」という記事が散見されたが、韓国はしたたかだった。

 先に挙げたBTSの無観客ライブは世界に広がるファンを集めたのみならず、AR(拡張現実)技術を駆使し、各国の業界からも評価を獲得した。

 ライブ直後に発表したアルバムはオリコンチャートで1位を獲得し、日本だけで50万枚を突破。米「ビルボード」でもチャートインした。

 市場規模では音楽産業を超え、コロナ禍でも成長を続ける動画サブスクへの進出もK-Popは抜かりない。

 韓国の大手音楽事務所JYPは、日本のソニー・ミュージックエンタテインメントと共同でHuluにオーディション番組「Nizi Project」を配信。番組から誕生したガールズグループNiziUは、デビュー前から日韓のみならず世界中で知名度を得た。すでに世界的な人気を誇る韓国のガールズグループBLACKPINKに続くことができるか、注目を集めている。

 動画サブスクには韓国政府も積極的で、観光部とコンテンツ振興院が共同で開催したライブサーキット「TRIP TO K-POP」をYouTubeなどで生配信。放送終了後にMTV Asiaでも放映した。韓国政府はさらに、韓流ドラマとK-Popを武器に、韓国発の有料動画配信サービスを立ち上げることを発表した。

 わが国の場合、アニメやゲーム、漫画を武器に、世界の「トゥウィーン(9~13歳)市場」をターゲットにした配信プラットフォームを構築するのが望ましいことは、筆者もクールジャパンの会議で提言した。アニメ主題歌は世界中の人が歌えるほどだし、子供はいずれ「若者」になる。

 世界において音楽に倍する売り上げを持つスマホゲーム市場もブルーオーシャンだ。米国では超人気ゲーム、Fortnite内で米ラッパーのトラヴィス・スコットがVR(仮想現実)を駆使して音楽ライブを開くと、3日間で2770万人の観客を集め、先のBTSは自分たちの育成ゲームをリリースした。BTSの動画を集めた専用サブスクも無観客ライブ以降、好調だ。

コロナ禍を機に
「ポスト・サブスク」を目指せ!

 危機の時代にこそチャンスがある。CDが誕生したのは、1970年代末の世界的なレコード不況に対するわが国のソニーの答えだった。ファイル共有が席巻したからAppleはiTunes Music Storeをリリースできた。スウェーデンではiTunes Music Storeがまったく機能しなかったのでSpotifyが誕生した。

 音楽の世界にサブスクが誕生して19年がたつ。CD誕生から19年後は2001年。サブスクが始まった年だ。すでにサブスクはピークを迎えつつあるかもしれない。

 ワクチンの登場でコロナ禍はいずれ終わるだろう。なすべきは、それまで嘆いて暮らすのではなく、次の時代へ向かって駆け出すことではないだろうか。

Key Visual by Hirokazu Mori(waonica)